良いレザーウェアの見分け方とファッション

レザーウェアの基礎知識の終りにあたって、「良いレザー ・ウエアの見分け方」と「レザーウェアとファッション」について、簡単に触れてみよう。

レザーウェアは、コラーゲン蛋白質を原体とするという、他の人造物質 にはあり得ない特質をもっている「皮革」をその素材としているため、衣料として数多くの優れた特徴をもつ。その優れた点を列挙してみると次の通りである。

[レザーウェアの特長]

①物理化学的に吸湿性と放湿性に富む。そのため、含湿量が多くとも濡れている感じが少なく、べとつかない。②織布製品のような方向性が少ない。③耐久性に優る。④帯電性がない。⑤通風性が少ないため、寒気を通しにくい。⑥延伸性と復元性が適度にある。

[良いレザーウェアの見分け方]

レザーウェアは以上のような優れた面を数々もっているが、素材の選別や型入れ、裁断、あるいは縫製などの加工面において、その特質がそこなわれたり、発揮できなかったりする場合もある。次に、皮革のもつ特質を最大限に生かし、人のまとう衣料としての条件を充足しているかどうか、そのチェック・ポイントの主なものを挙げてみよう。

①原皮にむらがないか。②平均して柔軟さがあるか。③色落ちはないか。④色が均ーか。⑤伸張度の差が著しくないか。⑥悪臭はないか。⑦革が脆弱でなく、丈夫であるか。⑧経製は糸締りが良く、しっかりしているか。⑨ボタン・ホールのつくりとボタン付けがしっかりしているか。⑩ゆとりのある縫製で、キセが充分とってあるか。⑪裏地、その他付属の裏面工作が、表に合わせてよく吟味されているか、などなど。なお、裏地の色は、表素材に合わせた同系色の濃淡を用いてあることが、クリー ニングの場合脱色があっても目立たない点で理想的である。

[レザーウェアとファッション]

革に対する人間の執着は、決して今に始まったものではない。古代から現代にかけて、世界中の人々があらゆる形で連綿と求め続けて来たことは、昨今、レザー・ファッションのムー ドが盛り上がるにつけても、さらにその感を深くしよう。

機械文明社会の騒音の中にあって、どのような精密な化学や機械をもってしてもたった一つの細胞すらつくり上げることは出来ない。しかし、自然の創造物であるこの天然皮革は、重厚な、また非常に地味な歩みを保ちつつも、自然の郷愁を誘うように、その風格を備えて呼吸しているといえよう。天然の繊維で構成されているこのマテリアルは、電子顕微鏡で見るまでもなく不均ーな繊維構造をもち、それがそのままに、不均等な感触を発揮している。

このようにユニークな素材を用いたレザーウェアの、最近の傾向としてとくにいえることは、その風合いをより具体的に表現したものが作品としてよく目につくことである。古代鞣しを再現したような粗野な仕上げを、さらにクラシックなデザインによって製品化したものが、フル・シー ズン用いられているかと思えば、シフォン・ベルベットにも優る美麗さを、よりシンプ ルなデザインによってまとめた優雅なコー トなど、街着と遊び着がはっきりと区別されて来ている。従米のレザーウェアはとちらかといえば、常に流行に対する安全性を多分に意識して中庸であり、シンブルなデザインが好まれたものだが、いまや衣料群の中の数あるマテリアルの一つとしてレザーは完全に安定したものであり、あらゆるフィ ーリングで登場している。

さて、レザーウェアは人々になぜこのように愛着をもたれるのだろうか。レザーウェアは、着ている人の体温でその人の体型に完全にフィットしてしまうからである。まさに自らの皮膚であり、分身であるように思えるからである。

動物の皮が一枚のジャケットやコ ー トになるには沢山の用意された皮と、多くの人々の手数と、数力月の期間を必要とするだけに、その一つ一つはいかに尊いものであるかがうかがえよう。それだけに、どんなに古くなっても捨てきれない愛着が残るのであろう。ラフに着て、それでいて可愛くてたまらないレザーウェアを、一見無雑作なように見えて、そのくせすごく神経を使っている着方、こんな気持でいつまでも大切に着て欲しいものである。

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